高次脳機能障害で障害年金はもらえる?記憶障害・遂行機能障害の認定基準を社労士が解説


結論

高次脳機能障害は「症状性を含む器質性精神障害」として、精神の障害の認定基準で審査されます。見た目にわかりにくい障害である分、診断書・申立書でいかに実態を伝えるかが受給の可否を左右します。


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高次脳機能障害とは?主な症状

🧠 記憶障害
新しいことを覚えられない、直前の会話を忘れてしまう

👀 注意障害
集中力が続かない、ぼんやりしてミスが多くなる

📋 遂行機能障害
段取りを立てて物事を進められない、優先順位をつけられない

😤 社会的行動障害
感情のコントロールが難しい、興奮しやすい

💬 失語症
言葉が出てこない、理解しづらい(別途「音声又は言語機能の障害」の基準が適用)

これらの症状は周囲から気づかれにくく、本人も「昔はできていたのに、なぜかできない」というもどかしさを抱えやすい点が特徴です。


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認定基準:症状性を含む器質性精神障害

高次脳機能障害は、障害認定基準第8節「精神の障害」のうち「症状性を含む器質性精神障害」として認定されます。あわせて、精神障害・知的障害の等級判定における地域差を解消するため、厚生労働省が平成28年9月1日から運用している「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」も適用されます(出典:日本年金機構「『国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン』等」)。

このガイドラインでは、診断書の「日常生活能力の判定」(7項目の平均値)と「日常生活能力の程度」を組み合わせた「障害等級の目安」が示されており、症状性を含む器質性精神障害についても、関連する考慮要素を踏まえて総合的に評価する運用がとられています。


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診断書は「精神の障害用」が基本

高次脳機能障害の申請では、原則として「精神の障害用」の診断書を使用します。ただし、手足の麻痺を伴う場合は「肢体の障害用」、失語症を伴う場合は「音声又は言語機能の障害用」の診断書も必要になることがあり、症状が複数の領域にまたがる場合は、それぞれの診断書を組み合わせて申請する「併合認定」が行われます。


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脳血管疾患由来の場合の障害認定日の特例
初診日
発症・受診
6か月経過
症状固定なら特例で認定日に
1年6か月経過
通常の障害認定日

脳梗塞・脳出血などの脳血管疾患が原因で高次脳機能障害が生じた場合、通常は初診日から1年6か月経過した日が障害認定日となりますが、初診日から6か月経過した日以降に医学的に「これ以上の機能回復が見込めない(症状固定)」と判断された場合、その症状固定日が障害認定日として扱われる特例があります。この特例に該当すれば、1年6か月を待たずに申請できる可能性があります。


5
申請までの3ステップ

1

初診日の確認
原因傷病(脳梗塞・脳出血・頭部外傷等)の初診日と加入年金制度を確認

2

納付要件の確認
初診日の前日時点での保険料納付状況を確認

3

診断書・申立書
精神の障害用(必要に応じ肢体・言語機能用)を準備


6
診断書作成時の注意点

💡 ポイント「一見受け答えができているように見えても、実際の生活では段取りが立てられず家事や仕事に支障が出ている」といった実態を、家族の視点も交えて具体的に医師へ伝えることが重要です。良い状態のときだけでなく、日常的に生じている困りごとを幅広く共有しましょう。

7
申請前チェックリスト

  • ✓
    原因となった脳梗塞・脳出血・頭部外傷等の初診日を確認できているか
  • ✓
    症状固定による障害認定日の特例に該当する可能性があるか確認したか
  • ✓
    記憶・注意・遂行機能・感情コントロールなど症状ごとの生活場面での支障を整理できているか
  • ✓
    手足の麻痺や失語症を併発している場合、必要な診断書の種類を把握できているか
  • ✓
    家族など周囲から見た日常生活の様子も申立書に反映できているか

8
よくある質問

Q
高次脳機能障害だけでも障害年金はもらえますか?

A
はい、高次脳機能障害単独でも「症状性を含む器質性精神障害」として対象になります。手足の麻痺などを伴わなくても、記憶障害・遂行機能障害等の程度によって認定される可能性があります。

Q
脳梗塞のコラムと何が違うのですか?

A
脳梗塞・脳出血は「原因となる傷病」、高次脳機能障害は「その結果生じる症状の一つ」という関係にあります。本記事は精神面の症状に焦点を当てて解説しています。

Q
見た目には元気そうに見えますが、それでも認定されますか?

A
可能性はあります。審査では見た目ではなく、日常生活能力の判定・程度や生活場面での具体的な支障の有無が重視されます。

Q
何級に認定されるか、事前に予測できますか?

A
等級判定ガイドラインにより一定の目安は示されていますが、最終的には診断書の内容をもとに総合評価されるため、断定的な予測はできません。
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出典
日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」第8節 精神の障害
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/ninteikijun/20140604.html

日本年金機構「『国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン』等」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/ninteikijun/20160715.html

執筆者情報
橘憲一
橘憲一社会保険労務士
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