うつ病で障害年金3級は認定される?等級の判断基準を社労士が解説
目次
- うつ病で3級が認定されるのは「障害厚生年金」だけです。初診日に国民年金だった方には、障害基礎年金に3級がないため3級の認定はありません。
- 精神疾患の等級は、診断書の「日常生活能力の判定」の平均値と「日常生活能力の程度」の組み合わせを目安に判定されます(厚生労働省「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」)。
- ただし目安はあくまで参考であり、療養状況・生活環境・就労状況などを含めた総合評価で最終決定されます。
- 令和8年度の障害厚生年金3級の最低保障額は年額635,500円です。
うつ病の障害年金に「3級」はある?
あります。ただし障害厚生年金に限られます。
障害年金は、初診日にどの年金制度に加入していたかで種類が変わります。
| 初診日時点の加入制度 | 受給できる年金 | 認定される等級 |
|---|---|---|
| 厚生年金(会社員・公務員など) | 障害厚生年金 | 1級・2級・3級 |
| 国民年金(自営業・専業主婦(夫)・無職・学生など) | 障害基礎年金 | 1級・2級のみ |
障害基礎年金には3級が存在しません。 そのため、初診日に国民年金だった方の場合、審査上「3級相当」と判断される状態であっても、結果は「2級非該当」=不支給となります。
この違いは、うつ病の障害年金でつまずきやすい最初のポイントです。ご自身の初診日がいつで、そのとき何の制度に加入していたかを最初に確認してください。
(初診日そのものの特定に不安がある方は、関連記事「うつ病の障害年金|初診日の特定が難しい場合」もあわせてご覧ください。)
等級はどうやって決まる?「判定平均」と「程度」
うつ病を含む精神の障害では、医師が作成する精神の障害用の診断書(様式第120号の4)の記載内容をもとに等級が判定されます。
判定の中心になるのが、次の2つの項目です。
① 日常生活能力の判定(7項目・4段階)
診断書の裏面にある、次の7つの場面についての評価です。
1. 適切な食事
2. 身辺の清潔保持
3. 金銭管理と買い物
4. 通院と服薬
5. 他人との意思伝達および対人関係
6. 身辺の安全保持および危機対応
7. 社会性
各項目を、程度の軽いほうから1〜4の数値に置き換え、7項目の平均を算出したものが「判定平均」です。
② 日常生活能力の程度(5段階)
医師が、全体としての生活能力を(1)〜(5)の5段階で評価する項目です。
この2つを組み合わせた表が、厚生労働省の「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」に示されています。
データで見る:障害等級の目安
厚生労働省が定める「障害等級の目安」(表1)は次のとおりです。
| 判定平均\程度 | (5) | (4) | (3) | (2) | (1) |
|---|---|---|---|---|---|
| 3.5以上 | 1級 | 1級 又は 2級 | — | — | — |
| 3.0以上3.5未満 | 1級 又は 2級 | 2級 | 2級 | — | — |
| 2.5以上3.0未満 | — | 2級 | 2級 又は 3級 | — | — |
| 2.0以上2.5未満 | — | 2級 | 2級 又は 3級 | 3級 又は 3級非該当 | — |
| 1.5以上2.0未満 | — | — | 3級 | 3級 又は 3級非該当 | — |
| 1.5未満 | — | — | — | 3級非該当 | 3級非該当 |
出典:厚生労働省「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」(平成28年9月)
3級の目安に入るのは、おおむね判定平均1.5〜3.0の範囲です。 表の中の「3級」は、障害基礎年金を認定する場合には「2級非該当」と読み替えることとされています。
なお、このガイドラインはてんかんを対象から除いています。てんかんについては、発作の重症度や頻度を踏まえた判定を障害認定基準で別に定めているためです。
目安どおりに決まるわけではない:総合評価とは?
目安表はあくまで参考値です。 ガイドラインは、目安を参考にしつつ、次の5分野の要素を考慮して認定医が総合的に判定すると定めています。
1. 現在の病状または状態像
2. 療養状況
3. 生活環境
4. 就労状況
5. その他
そして「診断書の記載内容に基づき個別の事案に即して総合的に評価した結果、目安と異なる等級になることもあり得る」と明記されています。
つまり、判定平均が同じでも結果が分かれることがあります。 逆にいえば、目安の数字だけを見て諦める必要はありません。
うつ病を含む気分(感情)障害については、ガイドラインに次のような考慮要素が挙げられています。
適切な治療を行っても症状が改善せずに、重篤なそうやうつの症状が長期間持続したり、頻繁に繰り返している場合は、1級または2級の可能性を検討する
現在の症状だけでなく、病相期間・頻度・発病時からの経過・直近1年程度の変動が見られるという点が重要です。
働いていると3級にもならない?
そうとは限りません。
ガイドラインは、就労について次のように定めています。
労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認したうえで日常生活能力を判断する
さらに、次の点も明示されています。
- 就労継続支援A型・B型、障害者雇用制度による就労、就労移行支援は、1級または2級の可能性を検討する
- 一般企業での就労でも、それらと同程度の援助を受けている場合は2級の可能性を検討する
- 精神障害による頻回の欠勤・早退・遅刻は考慮する
「働いている=受給できない」ではありません。どのような配慮を受けて働けているのかが問われます。
3級が認定されるといくら受け取れる?
障害厚生年金3級は、報酬比例の年金額のみが支給されます(障害基礎年金は上乗せされません)。
計算結果が一定額に満たない場合には最低保障額が適用されます。
| 区分 | 令和8年度(2026年度)の額 |
|---|---|
| 障害厚生年金3級の最低保障額 | 年額635,500円(月額換算 約52,958円) |
| 障害基礎年金2級 | 年額847,300円(月額換算70,608円) |
| 障害基礎年金1級 | 年額1,059,125円(月額換算88,260円) |
※昭和31年4月1日以前生まれの方は3級の最低保障額が633,700円となります。
令和8年度は令和7年度から、国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の引き上げとなりました。改定は令和8年4月分(6月15日支払分)からです。
出典:日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
なお、年金生活者支援給付金は1級・2級が対象で、3級は対象外です。
申請前のチェックリスト
- ☐初診日がいつか特定できている
- ☐初診日に加入していた制度(厚生年金/国民年金)を確認した
- ☐保険料の納付要件を満たしているか年金事務所で確認した
- ☐診断書の「日常生活能力の判定」7項目が、実際の生活状況を反映している
- ☐一人暮らしを想定した場合の状態で評価されている
- ☐就労している場合、受けている配慮や欠勤状況が伝わる形になっている
- ☐病歴・就労状況等申立書の内容が診断書と矛盾していない
よくあるご質問
QQ. 判定平均が2.0でした。3級は難しいですか?
A「日常生活能力の程度」が(3)であれば目安は3級、(2)であれば「3級又は3級非該当」となります。ただし目安は参考値であり、療養状況や就労状況を含めた総合評価で判断されます。目安だけで結論は出ません。
QQ. 障害基礎年金で「3級相当」と言われました。何かもらえますか?
A障害基礎年金に3級はないため、年金の支給はありません。ただし障害者手帳など他の制度は別の基準で判断されるため、そちらの対象になる可能性はあります。
QQ. 3級から2級に上がることはありますか?
A症状が悪化した場合には額改定請求という手続きがあります。また、更新(障害状態確認届)の際に等級が変わることもあります。
QQ. 診断書の等級と実際の認定は違うことがありますか?
A診断書に等級は書かれていません。医師が記載した内容をもとに、日本年金機構の認定医が判定します。医師の見立てと認定結果が一致しないことは起こり得ます。
QQ. うつ病と他の精神疾患を併発しています。等級は合算されますか?
Aガイドラインでは、認定の対象となる複数の精神疾患が併存しているときは併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断するとされています。
出典
- 厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」(平成28年9月)
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12512000-Nenkinkyoku-Jigyoukanrika/0000130045.pdf - 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」(2026年4月1日更新)
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/kojin/2026/202604/0401.html
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最終更新日:2026年8月7日

- 社会保険労務士
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